Tactic
先輩のこと……好き……


そう言いたかった。


だけど、私の頭の中をよぎったのは智也の顔だった。


ハッとして、我にかえる。


「ううん、何でもないです。送ってくれて…ありがとうございました」


南木先輩に別れを告げ、私は家の中に入る。


何故、あのとき智也の顔が浮かんだのだろう。


智也を傷つけてしまった後悔からなのか…


南木先輩と正反対の智也に、だんだん惹かれているなんて思いたくない。

私と智也はただの友達。

そう、ただの友達。


だけど、いつも思い出すのは【かけひき】という名の優しいキスだった。

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