Tactic
その後すぐに、視界が暗くなる。

智也の顔が近づいていたのだ。

目を見開いたまま、動けないでいると、キスをする手前で智也の顔がぴたりと止まった。


「ごめん」


唇と唇が触れそうな距離で呟く智也。

あと数センチでキスというのに、智也は顔を背け私から離れた。


「なんでっ…?かけひきでしょ。しないの……?」


「嫌そうだったから。俺って汚れてるし」


智也の放つ言葉が、やけに重かった。
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