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第8話 幸せの去ぬ間に

side智也

触れた唇は、ちょうどチョコのように溶けてなくなってしまうんだろうと思うほど、熱を帯びていた。


突然のトーコからのキスに、俺は半ば呆然としたまま目を見開いていた。

トーコからのキスは、最初のとき以来だ。



あれから学校へは行ったものの、何も考えられない。


頭が真っ白で、雪のように真っ白な白銀の世界が、俺の中にある。


机の上に伏せってみても、無意識のうちに綻ぶ顔。


にやけ顔を見られまいと、己の顔を腕で覆い隠した。


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