Tactic
「あ……うん。なんていうか、今朝は私ーー」



「自分からキスするなんて、おかしいーーなんて言いてぇのか?」


俺の言葉に、トーコは戸惑いながら視線を地面に落とす。


「ばかにしてんの?」


冷たい低い声で、唸るように呟いた。


「忘れろなんてできねぇ。なかったことにしろなんてできるわけねぇだろっ!!」


絞りだした声を荒げ、子供のようにただ、やみくもに己の気持ちをぶつけた。


もう、このまま勢いで気持ちをぶちまけちまってもいいのかもしれない。

今なら、フラれたって構いやしない。


ケンカの最中だ。口から出任せだって言い訳もできるかもしれない。


「俺は……俺はな、トーコ、お前のことがーー」

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