Tactic
時計の針は17時をすぎていた。

冬場は日の入りが早い。

すでに月が顔を出し、辺りはすっかり暗くなっていた。


千鳥浜にある小さな公園を見渡す。


誰もいない。


人、ひとりいやしない。

街灯で照らされた公園は、不気味で思わず怯んでしまうほど。


その公園の先に小さな浜がある。


潮の香りが鼻先をくすぐり、私の鼓動も早鐘をうつかの如く鳴り響いている。


そっと覗くように、浜を見つめた。


何人かの男がたむろしている。

目を凝らしながら見据えてみると、砂浜に横たわった智也を発見した。
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