Tactic
見つけた!


そう思いながら、携帯電話を手にとった。


混乱した最中、私が真っ先に助けを求めたのは南木先輩。


震える手で、通話ボタンを押した。


『はい』


先輩の声、私はホッとしたのか、また、涙が溢れてきた。


「先……輩?……智也が……智也が」


『若宮?なに?どした?落ち着いて話して』


南木先輩はいつにもまして、冷静で、私は落ち着きを取り戻していく。


「智也が……下校途中に叶って人に殴られて、連れ去られたの」


『智也が?!で、若宮は大丈夫なのか?場所は?』


「大丈夫……。車、追いかけて、今隠れてます。場所は千鳥浜」


『チャリですぐに行くから!若宮は危ないから帰っとけ!』


南木先輩はすぐさま電話を切った。

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