Tactic
そう、あたしの頬が赤く変わり始めたとき、智也が勢いよく廊下を走り抜けてきた。


「トーコ!まだ探してんのか?しょうがねぇなぁ、返してやる…よ」


智也の声に、張りがなくなった。


あたしは不思議に思い、立ち上がる。


「兄貴」


智也がそう、呟いた。

二人が兄弟だと、その一言で気づいた。


それと同時に、智也が南木先輩に敵対心を持っていることにも……気づいた。
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