Tactic
ドクンドクンと、心臓がせわしなく動く。
扉をゆっくりと締め、トーコは黙ったままベッドの方へと歩み寄る。
そして、ベッド横にあった小さな丸イスに腰をかけた。
「智也、起きてて……大丈夫なの?」
言葉が出てこない。
今、ようやく巻き戻しを完了したかの如く、頭の中の整理がついた。
トーコはあのとき、俺を病院へと運んだ。
俺も、混乱していて意識もなくなりそうな極限状態の中、トーコの心音が聴けたことに、バカみたいに嬉しく思っていたけれど……
今、冷静に考えてみれば、それって、兄貴と一緒に俺を助けにきてくれたってことだ。
一部始終、見られてたってことか?
いつから?
いつから、どの辺りからみっともない俺の姿を見ていたんだ?
扉をゆっくりと締め、トーコは黙ったままベッドの方へと歩み寄る。
そして、ベッド横にあった小さな丸イスに腰をかけた。
「智也、起きてて……大丈夫なの?」
言葉が出てこない。
今、ようやく巻き戻しを完了したかの如く、頭の中の整理がついた。
トーコはあのとき、俺を病院へと運んだ。
俺も、混乱していて意識もなくなりそうな極限状態の中、トーコの心音が聴けたことに、バカみたいに嬉しく思っていたけれど……
今、冷静に考えてみれば、それって、兄貴と一緒に俺を助けにきてくれたってことだ。
一部始終、見られてたってことか?
いつから?
いつから、どの辺りからみっともない俺の姿を見ていたんだ?