Tactic
「顔……痛い?」


兄貴と同様、いや、それ以上に俺の顔は腫れあがり、顔の大半部分は白いガーゼやシップで覆われていた。


トーコは言いながら、俺の頬に手を近づける。


「触んなっ!!」


俺はその手を振り払い、布団をガバッと頭からかぶった。


トーコを背にして、横向に寝る。


「……痛ぇんだよ。だから、触んな」


背後からは、トーコの謝る声が小さくきこえた。

頭の中がぐるぐると渦巻いているようだ。


いつから?いつから……?


俺がボコられて、地面にひれ伏して、男に犯されそうになった姿を……いつから見ていたんだ?
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