Tactic
「帰れよ……帰って。しばらく、一人にさせてくれよ」


気持ちの整理をつけたかった。


トーコへの気持ちを、断ち切るために。



「バイバイ、トーコ」



俺の言葉に、トーコが振り返ったかどうかはわからない。


ただ、トーコは黙ったまま席を立ち、帰り際に「おやすみなさい」と、呟いた。


扉が閉まる音と同時に、俺の想いも閉じた。


病室の静けさが、苦しいくらいに胸を打つ。


体を丸めて、泣きじゃくった。


一生分の涙を、出し切った気がした。
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