Tactic
「じゃあさ、卒業式は来てくれよな?」


「ヤだ。行かねー」


ベッドに寝転がりながら、俺は雑誌を読み始める。


「なんで?」


唇を尖らせ、俺は黙る。

なんでって……トーコはきっと、兄貴に告白するから。



「あー、もういいだろ?俺、眠てぇの。ほら、出てって。今から誠吾さんちに行くんだろ?」


「え?ちょっ……おい、智也!」


兄貴を俺の部屋から追い出した。


まだ少し、トーコのことを考えると胸が痛む。


完全に吹っ切れたワケじゃねぇ。


きっと、今トーコの姿を見れば、俺の気持ちはぐらりと傾くだろう。

だから、会えない。


学校にも行けない。
< 197 / 305 >

この作品をシェア

pagetop