Tactic
「来るなって言っただろ!」


俺の大きな怒鳴り声に、トーコは体をかたくしながらも、ベッドの上であぐらをかく俺に、ゆっくりと近づいてきた。


「うん。だから……ずっと来なかった」



「じゃあ、なんで今日に限って来たわけ?兄貴の卒業式だから?もしかして、今から告白しに行くとか?」


トーコの手から、プリントを勢いよく取り、半分、冷やかしのような口調で言い放った。


「……うん。そのつもり。だから、駆け引きも……終わりにしない?」


視線を俺に合わせないトーコは、俯いたまま頬を赤らめ呟く。

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