Tactic
「最後に……キスさせて」


「え?と……智也っ?!」


トーコの答えを聞かず、俺は立ち上がり、トーコの体を壁に押し付け唇を塞いだ。


無理やり塞いだからか、トーコはくぐもった声を出し、目をつぶっていた。


何度も角度を変え、トーコに深いキスを与える。


「んっ……とも……や!!やめてっ!!」


トーコはありったけの力をこめ、俺をベッドへと突き飛ばした。


やっぱり、俺はトーコを困らせる天才だ。


ベッドへ倒れ込んだ俺は、天井を一度見据えると、己の気持ちを悟られぬよう、ゆっくり上体を起こした。
< 202 / 305 >

この作品をシェア

pagetop