Tactic
「なんだよ、最後なんだぜ?あ~あ、しらける」

あえて、皮肉めいた言葉を口にする。


「ごめんなさいっ……私……」



「告白しに行くんだろ?行けよ」


トーコの言葉を遮り、俺は話を続けた。


「でも」


言い訳は聞きたくない。
拒絶された悲しみと彼女を手放す覚悟で、自然と体が震えてきた。


異様に震える左手を、俺は右手で強く抑えつける。


こんな姿、見せられるか。お前に気づかれたくねぇ。


「さっさと行けってんだよ!」


なかなか、その場を離れないトーコに焦りを感じた俺は、勢いよく立ち上がるとトーコを部屋の出口まで無理やり引っ張り出した。




< 203 / 305 >

この作品をシェア

pagetop