Tactic
「トーコ……」


いつも金色の髪が、今日は黒色に染めあげられていた。


ポケットに手を突っ込んで、上靴は相変わらずかかと部分をぐしゃりと踏み込んでいる。


二年ぶりに、面と向かうからか、私の鼓動はおかしいくらいに動いていた。


何も、言葉が出ない。


昔は、普通に話せていたことが、話せない。


あのときよりも伸びた身長。


あのときよりも逞しくなった体。


【男】へと変わっていく智也を目の当たりにした私は、思わず頬を紅潮させた。
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