Tactic
安司の部屋に戻るなり、俺はペットボトルのキャップを開け、コーラを一口飲んだ。


荒々しく飲んだ所為か、唇の端から零れ、それを手の甲で拭った。


「智くん……若宮となんかあった?」


突然の安司の言葉に、俺は思わず、飲んでいたコーラを吹き出した。



「おわっ!きったねぇなぁ。何してんの…」


呆れ顔の安司は、タオルで俺の服を拭いた。


「あ~あ、これ、カッターシャツ染みになっちゃうよ」


安司が一方的に話すが、俺は未だ動揺を隠せない。


「図星?」


にやりと口元の端を持ち上げる安司。




「……なわけねぇだろっ。なんもねぇよ!」


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