Tactic
「今度の日曜日、どっか行かない?って……若宮にメールしちった」


にやりと唇の端を持ち上げた安司は、固まったままの俺をするりと交わして、ベッドへ寝転ぶ。


「安司、お前なっ……」

「ついでに言うと、若宮に誰か女の子を紹介してもらう」


安司の言葉を聞いて、俺はため息を吐き出す。


「で?4人で会うっつーわけ?」


「なんだ、わかってんじゃん」


安司の魂胆は分かった。
安司は、勘が鋭い。


俺が、トーコを好きだってこと。

きっと、さっきの俺とトーコの雰囲気で察したに違いない。




「……俺、パス。他、当たれよ」


「智也じゃなきゃ意味ねぇんだよ。俺の体に免じて……さ?ほら、俺の体のこと一番知ってんのは智也だろ?途中で苦しくなったらどうすんの?俺が倒れたら、智也の所為だからな!」



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