Tactic
空は既に暗闇で埋めつくされていた。


何台ものバイクがヘッドライトをつけたまま、公園に停まっていた。

周りにはガラの悪い連中が足を広げて座り込んでいる。


その中をすり抜けるように、俺はある一台のバイクの元へと駆けて行った。


「叶さん!」


バイクに跨ったまま俺に振りかえる。

瞬間、短髪を金色に染めあげた髪が微かに揺れた。


「おー、トモ。遅かったな」


叶さんはこの辺りのチーマーのヘッドらしい。

俺はあんまりそういうのには興味ないけど、叶さんに憧れているから集会に呼ばれると必ず顔を出す。


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