Tactic
なんだよ……と思いながら、安司を見ると、口元を持ち上げ、不敵な笑みを浮かべてた。


え?まさか……アイツ……


『一組決まりました~。あと、三組、計六人の方、誰かいませんかぁ?』


「はいはいは~い!俺ら六人、最前列で見たいで~す!」


安司は立ち上がり、手を上げ自分をアピール。


予感は的中した。

すっげぇ目立って、俺は思わず片手で顔を隠す。


『あ、じゃあ決まりましたね。では、こちらにどうぞ』


「は~い。ほら、萌ちゃんも井上くんとその友達も、行くよ!若宮と智也は残念~。六人しか空いてないって」


「あ、うん。私と智也はここで見てるから、相馬くんみんなと行ってきていいよ」


「あ、そう?ごめんね~。若宮、智也のことよろしくな」


安司、アイツまた余計なことを……。


頭を抱えてうなだれる俺。


あぁ言った手前、言わねーとダメだよな?


安司の野郎、うるせぇし。

言うか?


好きだって……


ずっと好きだったって……


トーコに全てを打ち明けようか……
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