Tactic
「断れねぇって何? 」


「え?」


「仲良くしてるから断れねぇっておかしいっつってんの。アイツがお前に告白すれば、付き合うわけ?」


ダメだ。俺は、ちょっとした嫉妬で理性を失っちまう。

トーコを困らせる術しか知らないんだ。


俺の声は、観客の声に埋もれ、トーコにしか聞こえていないだろう。


だけど、何かを察知したのか、井上が階段をのぼり俺達のもとまでやってきた。


「若宮……下で、一緒に見ないか?詰めればなんとか座れるよ。南木くんだっけ。君も一緒に」


どうしてこうも俺の周りは、おせっかい野郎ばかりなのか。


そして……


なんでトーコの周りにはいい野郎ばかりいるのか。


性格悪ぃ俺が、余計目立つだろ……。
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