Tactic
「帰る」



ポケットに突っ込んだまま、俺は立ち上がり出口に向かった。


「え?ちょっと待ってよ、智也……」


「二人で楽しめよ。俺、帰るから。安司にも言っといて」


さっさとこの場から立ち去りたかった俺は、早歩きで会場から出て行った。


ため息を漏らす。

ポケットに突っ込んだままの手に、力を籠めた。

くそっ……

何が告白だ。んなもん一生できねぇ。


俺には、アイツを困らせることしか、憎まれ口を叩くことしかできねぇんだ。



水族館の出口に向かい、歩いていた。


瞬間、腕をグイッと引っ張られた俺。
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