Tactic
「なにすんだよっ」


振り返ると、俺の腕を掴んでいたのはトーコだった。


走ってきたのか、息を切らして何度も呼吸を繰り返す。


「待って……智也」


走ったせいで、赤みを帯びた頬に胸が高鳴る。


その姿を目にしないためにも、俺は顔を背けた。
「なんだよ、離せよ」


冷たい言葉。


なんで俺、こんな態度しかとれないんだろうって、自分でもわからずに腹立たしい気持ちになる。


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