Tactic

「俺は……お前とダチで良かったって。あのとき、智也に声をかけて良かったと思ってるよ？」


安司の言葉に、俺は目を見開いた。


「俺、こんな性格だし、ウザイってよく言われたり……ハーフだってことも、傷のこともあって、これでも色々悩んでたりしてさ。智也が黙ったまま、俺の隣にいてくれるだけで、世界が変わった気がした」


黙ったまま、安司の言葉に耳を傾けた。

それでも、なお、安司は話す話す。こういうときは、俺が何も言わないのを知っているんだ。


「あまり自分のことは語らない。だけど、その分お前の苦しさが、よく見えた。口に出したほうがすっきりする時だってある。だからさ、これからは俺に何でも話して。そろそろ……信用してくれてもいいじゃん」


目の奥が熱くなった。振り向きもしない俺の肩に、安司はそっと手を伸ばした。


「安司……俺……」


そうだ。全てを話そう。

俺の卑怯で汚い部分も全部晒けだそう。