Tactic
家に帰るとすぐにゲームをした。


さっきの気持ちを押し殺すかのように。


「ただいま!!」


兄貴の元気な明るい声がリビングにいる俺の耳にも聞こえてきた。

おかえりの一言さえも俺は言わず、ただ黙ったままテレビゲームに夢中だ。


「智也、ちょっと醤油買ってきてくれる?」

「俺、いま忙しい」


母親にもこんな態度。

まぁ、反抗期というものなのだろうか。


男なら当たり前な態度だと思うけど、


「母さん、オレが行ってくるから」


兄貴は俺みたいな態度、一度もとったことない。


だから好かれるのだ。

親からも友達からも……トーコからも。
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