Tactic
「允也が行ってくれるの?でも受験勉強は……」


「10分くらい勉強しなくたってどうってことねぇよ。スポーツ推薦でほぼ決まったようなもんだし」


兄貴は学校から帰ってきたばかりの学ラン姿のまま、財布をポケットへと突っ込んだ。


あ~アホらしい。


テレビの電源を切り、俺は兄貴と母さんの間を割ってリビングを後にする。


そのまま玄関で靴を履くと、背後から兄貴に声をかけられた。


「智也、どっか行くのか?途中まで一緒に行こうぜ」


靴のかかとを踏んだまま、俺は兄貴に頷く間もなく家を出る。
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