Tactic
「いや、オレはさ……ただあの有名な叶さんとお前がよく夜中につるんでるって聞いて。誠吾が見たって。智也、すげぇ笑って楽しそうだったって」


「誠吾さんが?てか、誠吾さんの方こそ受験生なのに夜中に何やってんだよ」


誠吾さんというのは、兄貴の小学校からの親友。


ラグビー部のキャプテンだ。


気さくで話しやすくて、まぁ多少馬鹿だけど。

兄貴とはいいコンビだろう。(※ナギと誠吾の話は本館の未完成という小説を読んで下さい)


「智也、最近家でも学校でも笑わなくなっただろ?2年くらい前からだったっけ」


2年前――そう、俺がトーコの気持ちを知ってから。


トーコがあまりにも兄貴、兄貴というから俺は面白くなくて……兄貴には勝てないと思ってる。


だから、もうトーコの気持ちは一生……手に入らないんだと確信してしまった。
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