Tactic
「あんたの笑顔は計算高いのよっ!」


「計算高くて何が悪い?世の中、計算高くなきゃ生きていけないんだぜ?」


「中一の分際で、計算高くてどうすんのよっ!同じ家庭で育って、なんでこんなにも性格が違うの?智也じゃなく、南木先輩と同級生なら良かったのに」


俺は、トーコの制服のリボンをむしり取った。


「南木允也は純粋で、友達思いで弟思いで…優しくて女の【お】の字も知らなくて……反対に俺は、性格歪んで意地悪で要領がよくて女の……」


言いながら、俺はその握っているリボンを窓の外へ掲げる。


「【な】の字まで知りつくしている」


トーコが俺を軽蔑した目で見つめていた。


そのまま掌を広げ、制服のリボンはひらひらと運動場へと落ちていった。
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