Tactic
目は地面を何度も往復する。


兄貴の嫌いなところ……嫌いなとこ……ろ


瞬間、叶さんは俺の肩を思いきり叩いた。


「ま、そんなもんよ。兄弟って。俺はああいう奴見るとイライラすんだけどな」


煙草の煙りが、俺の鼻を霞めた。


そのまま、叶さんはリエさんの家に向かう。

逞しく広い背中を見据えていると、叶さんは振りかえった。


「トモ、なんなら……3Pしていくか?」


「いえっ……それはいくらなんでも……」


顔は笑みをこぼしているというのに、その鋭い瞳に俺の体は思わず硬直してしまう。


「ばぁか。冗談だよ」


手を振り、叶さんは再び俺に背を向けた。



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