Tactic
俺、何かわけ分かんねぇ。


俺は兄貴を嫌いじゃない?


それなら……一生兄貴には勝てないや。


トーコのこと……一生手に入らない。


風が吹き抜ける。


バイク……気持ち良かったな。

風を受けて、何もかも聞こえない無の世界に引きこまれたみたいだった。


いっそのこと、音なんて聞こえなければいい。

そうすれば、トーコの心の音、きかなくてすむ。


いや、でもやっぱ……

「嘘。トーコの音、声……」


ずっと傍で


ききたい。


きき続けたい。

たとえ……トーコが別の人を想っていたとしても――


お前の傍にいたいんだ。



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