Tactic
「あれ?若宮こんな所でなにしてんの?」


その声に、私の体は無意識に反応する。


顔を上げた私は、目を見開きながら驚いた。


「南木…先輩」


全速力で走っていた私の息は荒い。


顔は恥じらいと急激な運動のせいか、真っ赤だ。
こんな姿、見せたくなかったのに。なんてタイミングが悪いのだろう。


「智也と帰ったんじゃないの?」


「智也…くんは、途中で友達に会って……」


少し、背が伸びた先輩。

童顔であどけない表情の先輩がたまに見せる大人びた仕草に、私の鼓動は早く刻まれる。
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