Tactic
それ以上聞かないでほしいという俺の懇願を、言葉に込めた。


リエさんに通じたのか、そのまま彼女は何も言わず寒さで赤く染まった頬を俺の胸に埋めた。


「良かった。彼女じゃないんだ……」


「……リエさん?」


「今日はずっと……一緒にいてくれないかな?」

そのまま、リエさんは己の腕を俺の背へと回す。

籠められた力と、りえさんの温かな体温に俺は戸惑った。


「叶さんと……何かあったんですか?」

その問いに対し、一瞬リエさんの体が跳ね上がる。

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