Tactic
第6話 秘密

sideトーコ

あの日、クリスマスの夜……私と別れた後、智也は他の女の人と抱き合っていた。



少し歩いた先で、マフラーを返そうと私は再び公園まで戻ったのだ。


ついさっきまで、私に笑みをこぼし自らのマフラーを巻いてくれた智也はいなくて、私の目の前には私の知らない智がいた。


呆然と二人の姿を見つめながら、私はゆっくりとその場を後にした。


それからの帰り道、どうやって家に着いたのか私は何も覚えていない。

唯一覚えていることは、頬の冷たさと胸の痛みだけだった。

< 80 / 305 >

この作品をシェア

pagetop