Tactic
「なに辛気くせぇ顔してんだよ?」

背後からの声に、私は慌てて振り返る。


「智也…」


呆然としたままの私の頭をくしゃりと撫で


「チャイムなるぞ?」


変声期を終えた低い声で通り過ぎながら、そう呟いた。



トクンとなる心臓に気づきながら、私はそれに気づかぬフリをした。


冬休み明けに見た智也は、また一段と大人びていた。
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