Tactic
始業式に出るのは、トーコに会う為といっても過言ではない。


事実、学校に近づくにつれ、俺の鼓動は高鳴っていくのだから。


正門をくぐり抜け、教室に向かう。


俺の足は歩みを止めた。

教室の扉の前に佇むトーコが視界に入ったからだ。


「……っ……」


声にならない。


この冬休み中、触れたくても触れられなかったトーコが目の前にいるのだから。


下唇を噛み締め、顔を背け心臓の速度を抑える。
一度、深く息を吸い込むと俺は一歩踏み出した。

トーコの後頭部を軽くはたきながら、教室に入る。
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