私の好きな人
歩きながら、泣いて、家に着くころには落ち着いていた。
結局、部長さんに、宮崎さんの事は話さなかった。
「あの…部長さん、ありがとうございました。」
『……うん。大丈夫?』
「はい!」
『そう?』
「大丈夫です。ご迷惑をおかけしました…」
『いや…、家に着いた?』
「はい。到着しました!」
ちょっと、無理して明るい声を出してみたが、部長さんは全てを見透かしているように、返答は濁った感じだった。
…でも、私の意思を尊重してくれた。
『良かった!大丈夫と言うなら大丈夫、という事にしておきます!……そうだ、部長さんじゃなくて、仲原さんでいいよ。』
「へ?でも…」
『あ、会社では部長でいいけど、普段は仲原さんで…ね?』
「はい…」
『よし。じゃ明日も早いだろうから、お休み。』
「ありがとうございました。お休みなさい。」
まだ、話していたい気持ちもあったが電話を切り、家に入った。