私の好きな人
「ところで、部長、どういうつもりでしょうか?」
高橋さんが仲原さんに詰め寄る…
「い、いや、私がいないと気合いが入らないって、野中が言うもんだから、早ーく帰ってきたわけ。」
「野中が……」
ごくふつうに出勤してきた高橋さんが、仲原さんを見つけるなり鞄を投げだし、質問攻めにしているという光景を、皆遠巻きに見ていた。
「あら、おはようございます。」
満面の笑みでフロアに入って来たのは宮崎さんだった。
私は思わず身構えてしまったが、あっさりと私の前を通り過ぎ、仲原さんの下へ行った。
「お早いお帰りですね!何かありましたか?」
「…いや、何も。」
いつもより少し冷たい感じで宮崎さんに接している仲原さんに、疑問を抱きながらも給湯室に行った。