私の好きな人


「あなた、邪魔なのよ!いきなり現れて、仲原部長と仲良くなって。何?あんなに優しい笑顔、私には向けてくれない!仲原さんなんて、呼ばせてくれない!」


あぁ、やっと分かった……
宮崎さんは、仲原さんの事が好きなんだ。
だから、私に嫌がらせしたんだ。
だから、この会社からいなくならせてやるって言われたんだ…。

お盆を持つ手が、震えた。

何をされるか、分からなかった。こんな密室の中で……


「ねぇ、今、私に会社辞めて、仲原部長に一生会わないって約束すれば、何もせずにここを通してあげる。約束しないなら、無理矢理会社を辞めてもらうわ。」


そういうと、宮崎さんは果物ナイフを手に取り自分の方に刃を向けた。


「なにするんですか!?」

「あなたに、私を刺す動機はたくさんあるじゃない?あなたに刺されたって言えば、強制的に会社はクビでしょ?」


うっすらと笑ったその目は、本気で刺し兼ねない表情だった。


止めて下さい!そう言って止めようとしたとき、突然給湯室のドアが開いた。




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