私の好きな人
「………っ仲原さん!」
なんとなく、このまま仲原さんを行かせてはいけない気がした。
不思議そうな顔で振り返った仲原さんは、じっと私を見てこちらへ歩み寄ってきた。
「あ、あの……」
「どうしたの?仲原さん、なんて呼んで…」
「………すいません!、つい、勢いで…」
仲原さんはクスクス笑うと、「いや、いいよ」と言って真顔に戻った。
「で、何があったの?…話してくれる?」
「あ…えっと……ここでは…」
「うーん、ここじゃだめか……」
そう言うと、仲原さんは私を応接室に連れていった。