記憶の引き出し(短編)
 彼は実家の事情で家業を継ぐために、生まれ育った地へ旅立った。


私はまだ若く、彼に着いていくという選択はあの時できなかった。


何年かしてからでも遅くないだろうと思い私は残った。


でも、その選択は間違いなく二人に距離を作っていった。


仕事で落ち込んだり疲れてたりという、そういう日常に流され連絡を取り合うことも少しずつ減ってしまった。


だけど、それでも二人は大丈夫と安心しきっていた。
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