【完】恋の欠片―ユアン編―㊤
「…癒杏、俺さ…フランスにいる間、沙紀のことが好きだったんだ」



思わぬ雪兎の告白に、私は目を丸くした。



は……?

嘘でしょ?


沙紀って…


あの電話の女?



「…うん」



今はあまりの突然のことに、頷くことしかできなかった。



「…でも日本に帰ってきて、癒杏を見て…ああ、やっぱり好きだなって思った」



雪兎は俯きながら、ボソッとそう言った。



「…」



「フランスへ行く時、雪の結晶くれたよな?あれを癒杏だと思ってずっとフランスで暮してきた」



「…え?」



私が驚いた声をあげると、雪兎は私のほうを見て、ニコッと微笑んだ。


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