【完】恋の欠片―ユアン編―㊤
それはやっぱり、雪兎のことが好きだから?



でも、沙紀さんがいるんだよ?



雪兎はなぜ…私なんかに告白してるの?



私の頭の中は、疑問符で満たされていた。



「…い。嫌い」



「……は?」



聞き返す雪兎に、私はもう一度声を振り絞って言ってやった。



「雪兎なんか嫌い…!」



なんで思ってもないことを言わなきゃいけないの?



思わず涙が出そうになる。



ううん、ダメ。


ここで泣いちゃダメよ。



きっと私に嫌いって言われた、雪兎のほうが何百倍も辛いはず。


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