【完】恋の欠片―ユアン編―㊤
雪兎は全然悪くないんだから。



私は首を横に振った。



「は!?何言ってんだよ。他に誰が泣かすっつーんだよ。あいつしかいねーだろ!!」



崎田は眉間にしわを寄せて怒鳴った。



「崎田は…何も知らないでしょ」



私は声を絞り出し、言い返した。


「あ!?ああ、知らねーよ!知りたくもねーよ!!」



「だったら、そんなこと言わないで…」



小さな、震える声でそう言うと、崎田は驚いた目で私を見た。



「な…に言ってんだよ。なんでそこまであいつを庇うんだよ…」



崎田はすごく悲しい目をしていた。


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