【完】恋の欠片―ユアン編―㊤
私はすぐに視聴覚室を出て、崎田の言ったことが本当か確かめた。



するとそこには…。



「雪…兎?」



女を抱きしめている雪兎の姿があった。




抱きしめられている女は雪兎から身体を離すと、



「きゃーーっ!雪兎様に抱きしめてもらえたなんて!超幸せぇ~♪」

と、すごく満足そうな顔をして言った。



私はショックを受けた。



私を抱きしめたあの手で、他の女を抱きしめるなんて…。



ショックで足が動かなくて、しばらくその場にボーッと突っ立っていると、雪兎が私に気づき、冷たい目で私を見た。



「…なんでここにいるんだよ」



すごく冷めた声。

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