【完】恋の欠片―ユアン編―㊤
「私…もう、雪兎にはついていけない……!!」



力強くそう言ったあと、私は図書室から出ていった。



前も…こんな風に喧嘩したんだっけ?やっぱり私、雪兎とはあわないんだ…。



目の前には、掃除をしている生徒たち。涙で視界がぼやけた。



なんでっ…なんで私、いつもこんな目に……。



「――待てよ!」



後ろからグイッと腕を引っ張られた。



「また喧嘩で終わらす気?」



そう言った雪兎の目は怒ったような、呆れたような目をしていた。



私は周りの視線を気にしながら、雪兎を見返した。



「もういい加減にしてくんない?」



「じゃ、じゃあどうすればいいっていうのよ…」



「喧嘩取り消せ」


< 59 / 156 >

この作品をシェア

pagetop