恋愛アドバイサーズ
「……私も帰ろうかな」
誰に聞いてもらうこともなく、誰からの返事もなく、私の言葉はただの独り言になっていった。
「どうしよう。このお菓子とジュース……」
はぁ〜っと深い溜息が漏れたとき、事務所内の足音がこちらに向かっていることに気付いた。
扉が開くと同時に聞こえてくるのは間の抜けたいつもの声だった。
「おやおや?こんな所で何してるんですか?」
「これと言って何もしてません」
「そうですか」
部長は力なく笑うと、そのまま、お菓子の袋やジュースの入った袋を手に持って中に入っていった。
「ほら、早く入りなさい。春と言ってもまだ寒かったでしょ?」
いつもの部長の優しさだ。
いつものように穏やかな空気。