恋愛アドバイサーズ


「さっきの女性は、僕が高校2年生の頃に教育実習生としてやってきた先生なんです」


突然背後から声がして驚いていると、部長は和やかな笑顔をコチラにむけて私の隣に座る。


「……」

「……最初はただ、なんていうか……漠然といいなぁって。ただなんかいいなぁって思っていたんです」


教室の前のドアがガラガラと乱暴な音をたて、数学担当の小柄な男性教師が足を踏み入れてきた。

彼は、僕のクラス担任でもある。


ぴしっと着た少し大きめのスーツに猫背。

その猫背な担任の後ろにやる気に充ちた力強さで踏み込んでくる見覚えの無い女性。




髪をひとつに束ね、高い位置に結んだ髪が左右に規則的に揺れている。


彼女は教壇の前に立つと、軽く深呼吸をし、教室の隅から隅をゆっくりと見回し、教壇に手をついた。



彼女の瞳には夢がたくさん詰まっているようにキラキラと輝いて綺麗だった。


「おはようございます!今日から2週間、教育実習生としてお世話になります。担当は国語です」


不思議だった。
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