恋愛アドバイサーズ


まぁ、そういうことでこのはがきは同時に宮城のものでもあるわけで、私たちはハガキに記された場所の前まで来ていた。




平凡な雑居ビルに囲まれた小さなビル……ハガキに記されたのは、その2階。

ふと2階を見上げると

なにやら、黒いまがまがしいオーラが放たれていて…ここに入るのは危険だと全身が叫んでいた。


1階には可愛いペットの雑貨屋さん。

2階の窓ガラスには『(株)恋愛アドバイサーズ』
と怪しげな文字。





……………………。


「ねぇ?これどう思う?」

隣で口をあけて2階を見上げる宮城に話しかけてみる。


……返事がない。

ただの屍のようだ。なんてことは言わないけれど、宮城も何かに気付いたようで、ただ一言
「やめようか」
と呟いた。


やめようかというのは、多分“中に入るのを”って意味だと思う。

私もその方がいいと思っていた。


私たちは学んだのだ。





怪しいことには関わらないと。


クルッと回れ右をして一歩踏み出したとき、懐かしの高い声が聞こえてきた。
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