恋愛アドバイサーズ
冷たい空気に独特の香り。
階段を上り終えるとそこには部屋の向こうがモザイクがかって見えるくもりガラス。
その大きなガラスの真ん中に大きな黒い文字で『(株)恋愛アドバイサーズ』と書かれていた。
「ささっ!ボサッとしていないで、さっさと入って」
そのモザイクがかったドアをスーパーの袋を両手に引っさげた美鈴先輩が無理やり開けては、入れ入れと押してくる。
やっぱりここって……
「おや?遅いじゃないですか」
……この声は、
「やっぱり……」
「何が“やっぱり”なんですか?高畑朋さん?」
「なんでもないです。
部……」
「おぉっと!!朋さん?僕はもう部長じゃないですよ?
社長です、社長!!」
うぁ〜……正直、どちらでもいいような。
すると、すかさず
「あの、部長。
お菓子にケーキにと買ってきましたけど、どこに置きましょう?」
「……」
あれ?今美鈴先輩"部長"って……。