隣のあなた
服をまとめてたり、小物もまとめてた。
一度、『何やってるの?』って聞いたらヒロは
───
『ん〜、荷物の整理。いらん物、実家に置いてくる。』────
ヒロは、いらない物を実家に置いてきたんじゃない。
あたしを部屋に置いていった。
いらなかったのは、あたしだった。
別れを告げられた時だって、何となく気づいてたから受け止められた。
その時にはもぅ、ヒロの荷物はなかったから。
お揃いの食器も。
二つ揃ってあった、歯ブラシも。
2LDKの広い部屋に、あたしは残された。
──『家賃は…お前の親の管理アパートだから困らないよな。元気でな。幸せになれよ。』──
そう言い残して、ヒロは出て行った。