隣のあなた
水族館までは高速を使っても2時間近くかかる。
ケンチャンは嫌な顔しないで、あたしと喋りながら運転してる。
『俺ね、マスター樹の店で香織ちゃんを初めて見掛けた日から気になってたんだ。』
いきなりの暴露。
恥ずかしいって!
『え?!!いつ?』
『今年に入って直ぐかな?1月かな?』
自分が知らない間に見られてたとか恥ずかしいな。
『横に彼氏が居るのに、空元気振り撒いてるなって思ってた。』
『え………』
ケンチャンは見抜いてたの?
『ゴメンな、元カレの話…蒸し返す様な事して。』
『あ、全然。』
『その日以来、香織ちゃんの事、気になってた。俺がマスター樹に行く度に悲しそうな顔は変わらなかったから。』
ケンチャンは見てくれてたんだ。
ケンチャンが言う通り、あたしはヒロと居ても上の空だった。
ヒロが、どっか行っちゃう気がその頃からしてたから。